片付け業者と一言で言っても、料金形態やサービス内容は業者によってそれぞれ異なります。なかには悪徳業者もいるため、片付け業者選びは慎重に行わなければなりません。
今回は、片付け業者に依頼できる内容や料金相場などの基礎知識をはじめ、業者の選び方や依頼するうえでの注意点を解説します。料金を安くするためのポイントも紹介しますので、費用を抑えたい場合にも参考にしてください。
片付け業者に依頼できること
片付け業者とは、部屋の片付けや清掃にくわえて不用品処分のサービスを提供する事業のことです。基本的に、日常に行う掃除から個人ではむずかしい清掃や不用品の処分などを依頼できます。以下は、片付け業者の主な業務内容です。
1 部屋のゴミ処理や清掃
部屋のゴミ処理や清掃は、片付け業者の基本的なサービスのひとつです。たとえば以下をはじめとする、個人ではむずかしいゴミ処理を依頼できます。
・腐敗が進んでいるゴミ
・重くて運ぶことがむずかしい家具家電
・一度に処理できないほどの大量なゴミや不用品
・自治体に回収を依頼しなければならない、特殊な不用品
片付け業者の料金は、部屋の広さや不用品の量などによって決まるケースが一般的です。部屋が散らかっているほど料金が高額になる傾向にあります。
2 不用品の買い取り
片付け業者のなかには、部屋の清掃や片付けにくわえて不用品の買い取りサービスを提供しているケースがあります。業者が不用品を査定してくれるため、手間なく売却することが可能です。また、片付け費用から買取金額の差し引きを依頼できれば、出費を抑えることができるので、安く片付け業者を利用したい場合にも適しています。
3 ハウスクリーニングや部屋の原状回復
ゴミ処理や清掃だけでなく、ハウスクリーニングや部屋の原状回復を依頼できる片付け業者があります。専用の薬品や道具を用いた作業が行われ、以下のような個人ではむずかしい清掃を依頼することが可能です。
・ゴミの腐敗臭をはじめとする臭いの除去
・壁や床を入居前のきれいな状態に戻す
・頑固な水アカやカビなどの汚れの除去
・害虫駆除
自力での掃除が困難なほどに部屋が汚れていると考えられるのであれば、ハウスクリーニングや原状回復が依頼できる片付け業者を選ぶのもひとつの手です。なかには、賃貸物件の退去時に依頼する利用者もいます。退去時に原状回復が求められる傾向にある賃貸物件において、個人で原状回復した後に退去したほうが費用負担を抑えられる場合があるためです。片付け業者をうまく利用し、手間や出費を抑えましょう。
4 遺品整理や生前整理
高齢化が急速に進む近年において需要が高まっている、遺品整理や生前整理を依頼できる片付け業者があります。通常、部屋の物を処分する際は、自治体のルールに基づいて不用品を分別したり処分したりしなければなりません。そのため、遺品整理や生前整理のような多くの物を処分する際は、とくに多くの手間と時間がかかると考えられます。
一方で片付け業者に依頼すれば、部屋の片付けから不用品の処分まで全て任せることが可能です。人手も増えることから、スピーディーな遺品整理や生前整理が期待できます。
5 引っ越し準備
片付け業者によっては、荷造りをはじめとする引っ越し準備を依頼することが可能です。荷造りとともに部屋の清掃を依頼すれば短期間で引っ越し準備が完了するため、とくに忙しい人に適しているといえます。引っ越し準備を依頼したい場合は、見積もり時に梱包材の用意を依頼できるかどうかを確認しておくとよいです。
6 特殊清掃
特殊清掃と呼ばれる作業を取り扱っている片付け業者があります。特殊清掃とは、孤独死や事故死などで住人が亡くなった部屋の掃除や原状回復作業を行うことです。賃貸物件の退去時に行われる原状回復作業とは異なる、体液や腐敗臭などが除去できる特別な薬剤を使用する作業にあたります。
作業完了までに時間を必要としたり完全な汚れの除去が難しかったりするケースがあるため、見積もり相談や作業報告を丁寧に行ってくれる片付け業者がおすすめです。
どのくらいのレベルで片付け業者を利用する?
軽度な汚れの除去・片付けから、ゴミ屋敷と呼ばれるほどにゴミや不用品であふれかえっている部屋まで、さまざまな状況で片付け業者を利用することが可能です。とはいえ、片付け業者を利用するには費用がかかります。出費を抑えるためにも、自分で片付けや掃除ができる範囲は自分で行い、自分で対応できない場合は片付け業者を利用するなど、依頼する基準を決めておくとよいです。
たとえば、以下の状況で片付け業者を利用するのもおすすめできます。
・ゴミや不用品の処分
・ゴミ屋敷の片付け
・水回りをはじめとする、部屋の一部における片付けや清掃
・大型の家具家電の移動を含む、大掃除や模様替え
・賃貸物件の退去時における清掃
・片付け作業が困難な病人や高齢者の家の片付けや清掃
・個人での除去がむずかしい汚れや臭いの除去
また、不用品の買い取りや遺品整理など、特別なサービスを提供する片付け業者に依頼すれば、さらに利用シーンが広がるといえます。費用対効果をふまえて、うまく片付け業者を利用しましょう。
片付け業者を利用するメリット
一般的な片付けや掃除であれば、片付け業者を利用せずに個人で行うことができるといえます。しかし、専門家である片付け業者に依頼するからこそ得られるメリットもあります。片付け業者を利用するメリットを知り、片付け業者を利用するかどうかを検討する際の参考にしてください。
1 手間なくスピーディーに部屋を片付けられる
片付け業者を利用するうえでの最大のメリットのひとつが、手間なくスピーディーに部屋が片付く点です。なかには最短即日での片付けを依頼できる業者があるため、以下の状況での利用にも適しています。
・引っ越し日が迫っている
・来客予定がある
・行政から勧告を受けた
片付け業者によっては立会いが不要なケースがあります。立ち会わない場合は、入念に打ち合わせをするなどしてトラブル防止に努めるとよいです。
2 大型の家具家電の移動を依頼できる
冷蔵庫やソファーをはじめとする大型の家具家電の移動を片付け業者に依頼できます。大型の家具家電の移動には人手が必要だったり怪我をする恐れがあったりするため、個人では困難なケースも少なくありません。一方で片付け業者に依頼すれば、安全に家具家電の移動ができるうえ、あわせて清掃を依頼することも可能です。大掃除のタイミングで利用すれば、今まで掃除ができなかった箇所の汚れも除去できるので、すっきりとした気持ちになるでしょう。
3 不用品の処分を任せられる
片付け業者を利用することで、不用品の処分にかかる手間を削減することが可能です。一般的に、不用品を個人で処分する場合は自治体のルールに従う必要があります。ゴミの仕分けが複雑であったり、不用品によっては特殊な捨て方が求められたりするため、個人で対応するには手間がかかるケースも少なくありません。
片付け業者に依頼すれば、片付け業務完了とともに不用品を全て引き取ってくれるので、利用者は後処理なくすぐに快適な部屋を手に入れることができます。
片付けを業者に頼むデメリット
片付け業者の利用によって片付けにかかる時間や労力を削減できる一方で、片付け業者の利用にはいくつかのデメリットがあります。デメリットを確認したうえで利用するかどうかを判断することで、実際のサービス内容と希望するサービス内容とのギャップの削減が可能です。
片付け業者を利用するには費用がかかる
片付け業者を利用する際の主なデメリットは費用が発生する点です。処分するゴミや不用品の量が多いと、料金が高くなる傾向にあります。また、料金は以下の要素で決定されるため、正確な費用を知るためには見積もりが必要です。
・部屋の広さ
・部屋の散らかり具合や所有物の量
・ゴミや不用品の量
・階段の有無をはじめとする住居の構造
・必要なスタッフの人数や車両数
・異臭の除去など、特別な作業の有無
費用を抑えたい場合は、できる範囲で物の量を減らしたり片付けたりする方法が有効です。少なくともゴミは自分で処分してから見積もりを依頼することをおすすめします。
片付け業者選びに時間や手間がかかる
片付け業者を選ぶ際に時間がかかる点も、デメリットのひとつとしてあげられます。自分にあった片付け業者を選ぶには、自分が求めるサービスや予算を明確にしたうえで、複数の業者を比較検討することが大切です。比較検討する際は、以下をはじめとするポイントを確認するようにします。
・料金体制
・口コミや評判
・サービス内容やオプション内容
・実績
片付け業者のなかには悪徳な業者がいるため、安心して依頼できるかどうかを見極めなければなりません。料金の安さだけを重視して片付け業者を選ぶのではなく、評判や実績を確認して信頼できる業者かどうかを確認するとよいです。
片付け業者が部屋に入る必要がある
片付け業者を利用すれば手間や労力をかけずに部屋をきれいにすることができますが、他人であるスタッフを部屋に招き入れる必要があります。もし、入ってほしくない部屋や触ってほしくない物がある場合は、見積もり時と作業前に伝えておくとよいです。
また、片付け業者によっては同性スタッフの派遣を希望することができます。ひとり暮らしをしている女性利用者が、女性スタッフを希望するケースもあるので、スタッフに希望がある場合は相談してみるのもひとつの手です。
片付け業者を選ぶ際のポイント
数ある片付け業者のなかから自分の希望にあった業者を選ぶためには、いくつかのポイントをおさえる必要があります。悪徳業者を避けて、自分にあった優良な片付け業者を選ぶためにも、以下のポイントをチェックするのがおすすめです。
サービス内容や見積もり内容がわかりやすい業者を選ぶ
サービス内容と料金体制が明確な明朗会計の片付け業者を選ぶことが大切です。サービス内容があいまいであると、想定していたサービス内容が提供されなかったり何らかの理由によって追加料金が発生したりする恐れがあります。トラブルを防止するためにも、追加料金が発生しない明朗会計である見積もりを提示する業者を選び、不明点を解決したうえで契約書をとおして依頼しましょう。
見積もり・相談が無料である業者を選ぶ
見積もりや相談が無料である片付け業者を選ぶことで、満足度の高い業者選びを期待することが可能です。見積もりや相談が無料であるメリットとして、以下があげられます。
・相見積もりがしやすくなる
・不明点を解決してから依頼するかどうかを検討できる
・正確な料金を確認したうえで、依頼するかどうかを考えられる
満足度の高い片付け業者を選ぶためには、見積もりによって料金やサービス内容を正確に把握したり相談によって疑問点を解決したりすることが重要です。見積もりや相談が無料であれば納得できるまで検討しやすいといえるので、見積もり依頼や相談に金銭的負担が発生しない片付け業者を選ぶことをおすすめします。
実績が豊富な片付け業者を選ぶ
片付け業者を選ぶ際は、実績が豊富な業者を選ぶことをおすすめします。実績は、片付け業者の技術力をはかったり信頼できる業者であるかどうかを判断したりする際のひとつの指標です。とくに写真付きで実績が公開されている場合は、片付け後のイメージが掴みやすくなるので、利用を悩んでいる場合に確認してみるのもよいといえます。
また、悪徳業者は実績を公表していないケースが多いといわれているため、悪徳業者を避ける方法としても実績の確認は有効です。実績をしっかりと確認し、信頼できる業者を選ぶようにしましょう。
片付け業者の料金相場
片付け業者の利用料金は、複数の要素から算出されるケースが一般的です。たとえば、派遣するスタッフの人数・部屋の広さ・回収するゴミや不用品の量・周辺環境などの要素が考慮されたうえで料金が決定されます。片付け業者によって料金体制が異なるため、見積もりを依頼して確認するとよいです。
部屋の間取りによる料金相場
片付け業者によって料金体制が異なりますが、部屋の間取りによって料金が決定されるケースは少なくありません。以下は、部屋の間取りによる依頼相場です。
間取り | 料金相場 |
---|---|
ワンルーム(1R)・1K | 30,000円から65,000円程度 |
1DK | 50,000円から100,000円程度 |
1LDK | 75,000円から145,000円程度 |
2K | 60,000円から105,000円程度 |
2DK | 90,000円から175,000円程度 |
2LDK | 125,000円から210,000円程度 |
3DK | 135,000円から250,000円程度 |
3LDK | 160,000円から300,000円程度 |
4DK | 150,000円から225,000円程度 |
4LDK 以上 | 200,000円から450,000円程度 |
依頼する範囲が広くなるほど料金が高くなる傾向にあります。そのため、費用を抑えたいのであれば住居全てを依頼するのではなく、トイレや浴室は自分で掃除するなどして、依頼する範囲を狭くするのもひとつの手です。また、回収するゴミや不用品の多さによって料金が加算される場合があります。追加料金が発生するかどうかは、見積もり時に確認しておくとよいです。
不用品回収の料金相場
片付け業者によっては片付けや清掃作業に対する料金とは別に、不用品回収に費用が発生するケースがあります。とくにゴミや不用品の量が多い依頼の場合、基本料金に不用品回収料金が上乗せされやすいです。不用品回収の料金相場として以下があげられます。
不用品の量 | 料金相場 |
---|---|
軽トラック | 25,000円から40,000円程度 |
2トントラック | 50,000円から80,000円程度 |
4トントラック | 130,000円から250,000円程度 |
不用品回収に使用するトラックの大きさによって料金が変動するケースが一般的であり、見積もり時に目視にて使用するトラックが決められます。ゴミや不用品が少ないほど費用が抑えられるといえるので、見積もりまでに自分でゴミの処分をしておくのもひとつの手です。
片付け業者の費用を安くする方法
片付けや不用品の回収にはじまり、ハウスクリーニングなどの本格的な清掃サービスまで提供する片付け業者ですが、利用するサービスが多いほど料金は高額になります。少しでも費用を抑えたい場合は、以下の方法を試してみるのもおすすめです。
不用品の買い取りをあわせて依頼する
少しでも費用を抑えたい場合は、不用品の買い取りサービスを提供している片付け業者を選ぶとよいです。利用料金から買取料金を差し引いてもらえれば、リーズナブルに部屋の片付けが依頼できるといえます。買取料金の差し引きを希望する際は、見積もり時に申し出るようにしましょう。
注意すべきは、「古物商」の許可を取得している片付け業者であるかの確認が必要な点です。一般的に、不用品の買い取りやリサイクルによる販売を行う業者は古物商の資格取得が必要であり、許可なく不用品の買い取りを行うことは違反行為に該当します。利用する側には罰則がないとはいえ、トラブルを避けるためにも確認を怠らないことが大切です。
見積もり依頼前に、できる範囲で片付けをする
可能な範囲で部屋を片付けてから見積もりを依頼することで、費用を抑える効果が期待できます。片付け業者の料金は、ゴミや不用品が多いほど高くなるケースが一般的です。そのため、見積もりを依頼する前にゴミを捨てたり不用品を売却したりして、料金が高くなる原因を取り除いておくことをおすすめします。
相見積もりで片付け業者を比較検討する
複数の片付け業者から見積りをとって比較検討することで、料金が安くてサービスのよい業者を見つけやすくなります。片付け業者はそれぞれ料金体制や提供するサービスが異なるので、見積もりをとらなければ正確な料金を把握することができません。見積もりから、料金に対してサービス内容が充実しているかどうかを確認して、費用対効果が高く、お得に依頼できる片付け業者を選びましょう。
ただし、相見積もりをする際は見積もり時に申し出ることが大切です。あらかじめ伝えておくことで、断りやすくなったりトラブルが防止できたりする効果が期待できます。
片付け業者を利用する際に注意したいポイント
片付け業者を利用するうえで注意すべきは見積もりと相談です。見積もりと相談は料金に直接的な影響を与えるだけでなく、高い満足度にもつながります。以下のポイントを事前に確認しておき、後悔しない片付け業者選びを行いましょう。
複数の片付け業者で相見積もりをとる
片付け業者を選ぶ際は、可能な限り相見積もりをとるようにします。複数の業者から見積もりをとることで、以下のメリットを得ることが可能です。
・適正料金を把握できる
・正確な料金とサービス内容を把握したうえで比較検討できる
・自分の希望するサービス内容が明確となる
安すぎる利用料金を提示する片付け業者は、サービスの質が悪いなどのトラブルに発展する恐れがあります。相見積もりによって適正価格を知って、トラブル回避に役立てるとよいです。
見積もり依頼時に、現状と具体的な依頼内容を伝える
見積もりの際、現在の部屋の状況やサービスの希望を具体的に業者へ伝えることで、追加費用の発生などのトラブルを防止することが可能です。以下の内容を参考にして、より具体的な現状と希望を伝えるようにします。
・駐車スペースの有無や、最寄りのパーキングまでの距離
・エレベーターや階段の有無
・住居の構造や依頼したい部屋の間取り
・片付けを希望する部屋の広さや物の多さ
・希望する片付けや清掃の内容と程度
・不用品の買い取りなど、希望する片付け以外のサービス
・片付けを希望する日時
・そのほか、依頼したいこと
電話やメールで完結する見積もりは、時間や手間がかからずに簡単に行うことができます。しかし、実際の状況とのズレが生じる可能性があるため、本来よりも高い料金を支払う可能性も少なくありません。可能な限り、現地訪問による見積もりを受けることをおすすめします。
捨てる物を決めておく
片付け業者は見積もり時や片付け作業中に、利用者へ捨てる物を確認する場合があるため、あらかじめ捨てる物を決めておくようにします。物を捨てることに対して苦手意識のある人は、あらかじめ捨てる基準を決めておき、その基準に基づいて捨てるかどうかを判断するのもひとつの手です。捨てる基準として、以下があげられます。
・1年以上使用していない物
・サイズの合わない衣類
・壊れている物
・期限がきれている物
・複数所有している物
・今のライフスタイルにあわない物
一方で、普段使用することの少ない思い出の品は、勢いで捨ててしまうと後悔しやすい物のひとつです。思い出の品は時間をおいてから処分するかどうか考えるなどして、慎重に判断しましょう。
少しの工夫で安くて満足度の高い片付け業者が選べる
片付け業者を利用することで、部屋の片付けや清掃にかかる労力や時間を削減することが可能です。一方で、片付け業者を利用するには費用がかかります。不用品の買取料金の差し引きが可能な業者を選んだり、可能な限り自分で片付けやゴミ処理をしたりするなどして、費用負担の軽減を図るとよいです。
また、満足度の高い片付け業者選びには、相見積もりが欠かせないといえます。見積もり内容を比較して、悪徳業者を避けたり料金が安くてサービスの質がよい業者を見つけたりして、自分にあった優良な片付け業者を利用しましょう。